久しぶりに裁判所の傍聴記録。
概要
被告人はフィリピン人。被害者は日本人宅だが妻がフィリピン人。
同じ職場で出会った被告人と被害者妻は、15年ほど交友関係にあった後、被告人の方から被害者妻へ家事手伝いを申し出る。
被告人は結婚と同時に香港で暮らした経緯があるが、その夫とは死別。その後生活保護と遺族年金を受けながらの生活だったらしいから、家事手伝いを申し出たのだろうと推測される。
家事手伝いに行った日、被害者妻から「洗濯物を取り込んだら箪笥の中にしまっといて」と指示されその通りにしようとして箪笥を開けたところ、貴金属類を見つけたのでとっさに自分のポケットに指輪を一つ入れる。そのまま帰宅し後日質入れ。2万円程度の収入となった。
1か月ほどして被害に気付いた被害者が警察に届出。
更にその1か月後、起訴状発行。
星で見るタイミング
さて、犯行時のミッドポイントを以下羅列。
太陽/ドラゴンヘッド=木星
太陽/土星=天王星
水星/火星=火星
水星/木星=火星
金星/海王星=海王星、天王星
火星/冥王星=木星
木星/冥王星=木星
土星/冥王星=火星
天王星/海王星=海王星、天王星
これらのことを見ると、被告人は純粋にカネに困っていて、その上で家事手伝いを申し出ただけで本当に出来心でやったということがよく分かる。
とっさの判断を誤っているとはいえ、そのような瞬発力が働くミッドポイントだからだ。その上、自我を拡大させようという機運になっていたので尚更、「これぐらいいいだろう」という気持ちにもなったのかもしれないし、目の前にある貴金属を見て自分の恵まれていない境遇がことさらに自分の中で強調されたのかもしれない。同じ国の出身で同じように日本に来て、同じように結婚したはずなのにどうして…ということが一瞬にして頭の中を駆け巡ってもおかしくない配置。
それからこの時にはどういうものであれ「収入」に縁がある時だった。それが倫理的に正しいかどうかは、星には関係のない話なのでこういう方面のことであっても出るのだろう。
この時の配置だと非常に利己的になるし、だから何と言うか…こういう時期に家事手伝いをやるっていうのがそもそも無理のある話だし、それをどこかで調整するというのか補おうとするからこんな出来心が起きてしまうのだろうと思う。別にこの被告人をかばうつもりは毛頭ないが、それにしても皮肉なものだ。この星を生かすためにそのようなところへわざわざ行って、たまたま指示されたところを開けてみたら目の前に金目のものがあるというのは、本当に星のめぐりあわせとしか言いようがないのである。
裁判の中で被告人は泣きながら「私は本当はこんな人間じゃないのに、この時はどうかしていた」と供述していたが、本当にその通りだろうと思う。しかし誰でも魔が差すことはあるし、誰でも悪い事を出来るだけの知恵もある。この場合の知恵とはバレないように洋服のポケットに指輪を入れて平静を装うということだが、誰だってこの状況になったら(というかこの状況にしたら)同じようにするだろうし、何も堂々と自分の指にはめてみたり、あからさまに手に持って相手の前に出るということはしないはずで、それはつまりある種の「知恵」と言って良い。その知恵が働くのは、誰にでも悪意があることの何よりの証拠である。これを読んでいる人にその悪意がないなどとは言えまい。理性があるからやらないだけのことである。
タイミングさえ_____つまり自分の置かれた環境と、その時に目の前にあるものと、状況と、そういうものが全てそろった時にはこの悪意が首をもたげるのだ。そういう時に限ってその悪意を優位にしてしまうような星の配置なのだ。
本人の星は
計画的犯行でないことはミッドポイントを見ると分かるが、実際にこの被告人がどういう人物であるか?ということを少しネイタルチャートを元に紐解いてみる。
特筆すべきは火星がアウトオブバウンズになっていることで、さらにその火星は木星とスクエア。
よく喋るなと思っていたら水星はノーアスだし、太陽もノーアス。ただし太陽の他の天体とのアスペクトを見るともしかすると抑圧されて育ってきた可能性もある。実際にそういう家庭だったかどうかは別として、そういう風に本人が思っている可能性がある、という話だが。
天秤座の割には途中で泣き出したから、おかしいなと思っていたら月が魚座だった。別に月が魚座ならどんな人でも泣くということではないが、例えばこれでアセンダントが射手座とか魚座とか蟹座なら尚更泣く可能性は高くなる。あるいは牡羊座でもそうかもしれない。
このネイタルチャートを見ても、やはりトランジットの火星にかなり影響されたのではないかと考えられる。火星が絡むとき_____つまりはトランジットで火星が何かしらの影響を与えそうな時と、火星が絡む軸に対してトランジットなりプログレスなりの天体が接触する時と、両方とも気を付けるべきだろうと思う。
この人物自体は特にどうということのない普通のおばちゃんであった。
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